オイルで濡らした指を柔らかいヴァンの中に潜り込ませ、ゆっくりと広げて行く。
口付けを交わしながら、俺達は重なって、擦り合わせて、笑いあった。
今朝方まで俺を受け入れていた場所はまだ柔らかくて、ヴァンの中はやたら熱い。口付けの合間、零れる吐息に混じって、好き、と囁かれた。それだけで俺はたまらなくなってしまうのだ。
「我慢、とか、むり…もういれていい?」
ヴァンの背中に手を回して肩口に口付ける。
「俺もいれたい」
ヴァンの腕が俺の肩を掴んで、にっこりと微笑んだ。
火照った頬が、潤んだ瞳が。嗚呼。
いいよ。
俺はお前がそうしたいならなんだっていいんだ。覚悟は出来ている、さあ来い。
ちょっと先に慣らして欲しいとか、もう今更すぎて、いや、うん。オイルそこにあるから。
出来れば初めてなので優しくお願いします。
「いいよって、った?」
俺の肩を掴んだヴァンの腕に一瞬力が込められたかと思ったら、視界が反転してヴァンは一瞬にして俺の上に乗りあげた。
さすが戦士。
もしかしなくても、ヴァンが本気で俺を押さえ込めば、俺は身動きすら出来ないんじゃないだろうか。そんな俺の思考をよそにヴァンの唇が、額から鼻先、唇を通り越して顎、喉、鎖骨、と順番に降りていく。柔らかい唇が、俺の胸を伝っていく。
「ヴァン、俺っつあ」
覚悟はいつでも出来てる、と伝えようとした言葉はヴァンが俺のペニスを握ったことで止められた。
「な、に?」
俺に馬乗りになったヴァンが、ゆっくりと腰を落としていく。
「あー…そういう、ん。お前が、つ、俺にいれたいの、かと」
ヴァンをこじ開けていく感触。ヴァンの太腿が震えているのが分かった。つか、きつい。狭い。
「最初すげえ痛いから、アニス泣くって」
そうやって笑いながら、ヴァンは苦しそうに息を断続的に吐き出し、時間を掛けて最後まで呑み込んだ。
泣いてもいいんだ、お前がそうしたいなら、いいんだ。ヴァンだって最初痛かっただろう。頬を伝った涙を指ですくい上げ、顔を掴んで引き寄せ口付ける。口付けながらヴァンが腰を揺らし始め、俺は味わったことのないような快楽に包まれた。
「このまま、で、俺はいい、よ」
いれたくないわけじゃないけど、と付け加えるヴァン。
唇を離し、ヴァンは俺の上で腰を振る。かき回したり、僅かに引き抜いてから深く呑み込むまで腰を落としたり。
「アニスなら、いいよ」
あー…きた。
今の効いた。
「んっ、あ、ア」
別の意味で泣きそうになったのを、誤魔化すように俺は下からヴァンを突き上げた。同時に勃起しているペニスを擦ってやると、ヴァンは背中を丸めて両手を俺の胸について小さく呻いて果てる。
上半身を起こしてヴァンを抱き寄せる。荒い息をついて、ヴァンは唇を貪るように口付けてきた。俺の頬を両手で掴んで、もう離さないと言わんばかりに。
もう止まらない。後はもう真っ直ぐに駆け抜けるだけだ。
耳に届く、ヴァンの短い喘ぎ声。
首にまわされた頼りない細い腕。
俺は。
なんとなく、ヴァンが俺を連れてきた理由が分かってしまった。
そんな心配しなくても。
そんな不安にならないでも。
お前が俺を選んでくれたのは十分すぎるほど伝わってる。
「来年は俺んち来るか」
そう囁いたら、ヴァンは返事の代わりに息が詰まるほど強く、強く抱きしめてきた。
俺はもうそれだけで満足で、締め付けられる身体も心も、熱く絡みつく中も、全てが愛しくて。ヴァンの白い喉が反ったのと同時にこれでもかと締め付けられてあっけなく吐き出した。
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