Affection/Onslaught

 




 さすがに一度出せば次はそこそこ長持ちするもので、高く上げられたカデンツァの脚を抱えて反応を伺う余裕も出来た。あれだけ何度となくこじ開けられていたはずの尻は、失礼だけれど驚く程きつくて締まる。修道士たちが、あいつ気持ちがいいんだ、とこぼしていた理由もようやく分かった。
 気持ちがいい。
 狭くてぎゅうぎゅう締め付けられる内側。時折痛いほど締め付けてくるものの、オイルと肉が絡みついて、いいところが擦れる、とでもいうのか、その締め付けさえも恐ろしい程の刺激だった。
 短くあ、あ、と何度も繰り返されるカデンツァの喘ぎ声も昔のような苦痛の色は感じない。俺の背中に回された手に何度も力が籠もって、折りたたまれた身体と俺の腹との間で擦れるカデンツァの性器もまたかたく勃起していた。
「やべ、また」
 込み上げる射精感。
 身体をぴたりと重ね合わせているせいで、腰の動きは緩慢だ。突く、というよりかき回す、擦る、とでも表現したほうが分かりやすい。だけどそれがカデンツァにとってもいいのだろう、俺の背中から離された手が、声を押し殺そうと唇に当てられる。
「も、ちょっと」
 待って、と言われた気がした。
 激しく突き入れたい衝動を唇を噛むことで押さえ込み、身体を起こしてそのままカデンツァの身体を持ち上げる。短い悲鳴と、ずぶずぶ、と沈み込む音。
 俺の腰の上に座り込むような形で、一度抜けかけた俺の性器がカデンツァの尻に飲み込まれた。体重で深く受け入れたカデンツァは喉をそらして俺にしがみつく。
 その喉に噛み付くように口付けた。
「気持ち、いい?」
 細い腰、小さな尻。
 抱えて揺すってやると、内側だけじゃなく俺の身体に回された腕にも力が籠もった。上下の動きで、頷いているのか首を横に振っているのかよく分からないが、カデンツァは額を俺の肩口に擦りつけ何度も喘いだ。
 その姿に興奮しながら、俺もまたすぐそこに終わりの見えたゴール目指して走り出す。
「いっ、く」
 そう、カデンツァが呟いたのが聞こえ、次の瞬間激しく締め付けられて意識が真っ白になった。
 ゆっくりと息を吐いて、頭を振った。カデンツァは俺の身体にもたれ掛かり、荒い息をついている。俺たちはまだ繋がったままだ。二度目は少しだけ冷静にいられた気がする。
 カデンツァの背中を撫でながら大丈夫か、と声をかける。
「まだ、勃ってる」
 喘いだせいか掠れてしまった声でそう囁かれ、項に吸い付かれた。カデンツァが微かに笑いながら腰を深く下ろすと、押し出されるようにして俺の吐き出したものが結合部分から溢れたのが分かる。
 あぁ、また中で。
 後始末をすればいいという問題ではない。最初は後始末の意味も知らず、排泄器官なのだからすぐに一緒に出てくるだろうと思っていたら大間違いだった。今思えば馬鹿馬鹿しいが、当時は誰もそんなこと知らなかったのだ。女と違って多少の無茶がききそうに見える男の身体は、色んな意味で良くできた玩具でしかなかったのだろう。
「悪い、中で二度も」
 そう言ったらカデンツァは何を言っているのか分からない、という表情で俺を見た。まるでそれはいつものことだろう、と言われているようで胸が痛む。ややあって、ようやく気付いた様子でカデンツァは笑った。
「別に大丈夫」
 何が大丈夫なのか分からないが、俺だから大丈夫、とか、俺がいるから大丈夫、だったらいいなと都合良く考えた。小さな頭を両手で支えて、顔中にキスをして。まだ二人繋がったまま軽い刺激でお互いを煽っていく。
 もう一回とか言うカデンツァにも、勃起したまま萎えない自分に多少驚きはしたが、結局俺たちはそのまま俺にとっては3度目、カデンツァには2度目の螺旋階段を駆け上がり始めた。

 

 

Next