永遠のロマン。
それは一度は夢見るであろう行為や事柄を、個人の趣向や嗜好に囚われずひとくくりにした呼称、とでも言えば分かりやすいだろうか。
釣り人であれば巨大なググリューサウルスとの遭遇であったり、モンクであれば素手での打倒アモルフであったりとそのロマンの範囲は多岐に渡る。その中でも特に趣向によって好みが分かれる分野、それが恋人に求めるロマンだ。
どこかのむっつり赤魔は平然と裸エプロンとかほざいたわけだが、残念ながら俺にはその手の趣味はない。
話は前後するが、カデンツァにとって俺が、昔から特別な存在であったと自惚れた考えに至ったのは実はここ最近のことだ。それはいまだにカデンツァが、大聖堂にいるクソ野郎どものことを敬称付けで呼ぶことに違和感を感じたことが発端だった。
教育係を命じられた当初、カデンツァは怯えた様子で短い返事程度しかせず、俺の名前を呼ぶことなどなかった。いつ頃からカデンツァは俺の名前を呼び始めたのか思い出すことは出来ないが、カデンツァの感情がなりを潜めた頃からだと思う。
淡々と、事務的に呼ばれる俺の名前には、最初から敬称はなかった。
階級的な話で言えば、俺は中位よりは上の地位にいて、カデンツァが敬称をつける最下級の修道士たちを統括する立場にいた。だから本来の意味での教育係という立場であれば、俺が拝命するのは至極当然の話だったわけだが、実際アルノーが俺に与えた内容は教育の意味をはき違えたとんでもないものだったわけだ。
最初は嫌われているのだろうと思った。
だが俺はいい意味でも悪い意味でもカデンツァにとって特別だった。
思い返せばカデンツァは、悪態をつくのも、なにかを断るのも、俺にだけだった。
俺にだけ、カデンツァはどうしようもない胸のうちを僅かながらでもさらけ出していた。
俺を呼ぶ、敬称のない呼び捨てられた名前には、色んな思いが詰まってる。
「レヴィオ」
今はあのときよりもずっと親しげに俺を呼ぶ。
俺は今までもこれからも.ずっとこうやって名前を呼ばれたいと願う。
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