Sweet

 




 貪るように口付けた唇は甘く、熱い。
 唇から伝ったチョコレートを舐めとっては口付けた。

 甘い香り。甘い刺激。
 ヴァンの手が、アニスの腰回りをまさぐって下衣の中に差し入れられる。アニスが驚いて唇を離すと、ヴァンは足の間にかがみ込んで、取り出したペニスを口の中へ頬張った。
「おま、えッ」
 柔らかくて熱い咥内に絡みとられ、一気に腰に熱が溜まる。
 上下に動く頭に手を掛けると、柔らかな髪がアニスの指を撫でた。
 荒い息遣いだけが耳に届く。
「ン、あ」
 差しのばされた指に口付けて舐めると、ヴァンはそのままその指を自分の尻に持っていった。その光景は馬鹿に見たいに興奮する。口元を押さえて、零れそうになる声を押し殺すと、少しだけヴァンが笑った。
 まるで食べ物を頬張るように、ヴァンが口を大きく開けてむしゃぶりつく。
 唇が伝っていく感触にアニスは震えた。気持ちいい所なんて、男なら誰でも一緒なのだろうか。ヴァンの熱い舌が先端を刺激してきて思わず呻いた。
「あぁ」
 あの男にもこうやってやったのかな、と余計な嫉妬心が身を擡げたのをアニスは慌てて振り払う。
 ヴァンの後ろに伸ばされた指が2本に増えているのを見て、そっとアニスを咥えこんでいる頬を撫でた。
「上、乗れる?」
「うん」
 此処は火山地帯でごつごつとした岩肌が剥き出しだ。上半身は鎧を着たままだとはいえ、スプリングの効いたベッドのようにはいかない。
 身を起こしたヴァンの脇腹を支えてやると、ゆっくりとアニスの腰に跨って自らを落としていく。
 肉を割ってこじ開ける瞬間、息を飲んだヴァンに口付けた。
「痛い?」
 抱えた小さな尻に自分のものが呑み込まれていく。
 熱に包まれる感覚。
 まだ慣れないそこが拡げられる、軋んだ感じが肌を通してアニスに伝わってきた。
「だい、じょぶ」
 ヴァンはまだ大抵のことを許容し、我慢してしまう。オイルもなく、ゆっくりと慣らしてもない場所に受け入れて大丈夫なはずがない。元来そこは男を受け入れるようには出来ていないのだ。目に溜まった涙に口付けると、それでも幸せそうに微笑んで抱きついてきた。
「だいじょうぶ」
 喉元に口付けると、鎧が擦れる金属音が耳に届く。
 熱のこもったため息が洩れた。
「サイレントオイル使えば良かったのに」
 きつそうな呑み込んだ場所を指で撫でると、ヴァンはもっと奥へと呑み込むように腰を沈めた。
「音が、消えそうで」
「消えないだろ」
 じゃあ使えば良かった、そう言ってヴァンは最後まで腰を落とした。
 ヴァンの吐かれた息が首筋に掛かってアニスは鼻で笑う。
「くすぐったい」
「まだチョコついてる、よ」
 少し楽しげにアニスの首筋についたチョコレートを舐め取るヴァン。そのまま何度も強く吸われ、それと同時にヴァンの腰が上下した。熱く柔らかい内側、躍動をお互いが身体の芯で感じている。
 何処も彼処も熱い。
 絡め合った指先も、触れあう唇も、舐める舌先も。
 蕩けそうだった。


 まるでチョコレートのように。




 

 

Next