Q020.angry/Onslaught

 



 

 


 レヴィオが俺の教育係になってすぐくらいのこと。
 なかなか行為に慣れない俺に業を煮やしたアルノー様がレヴィオを呼び出してこっ酷く叱ったのを目の当たりにして、うまくできない自己嫌悪と怒られたレヴィオへの申し訳なさから子供みたいにその場で大泣きしたことがある。
 ごめんなさいとくり返し、錫で殴られたレヴィオの頬が腫れていくのを泣きながら見た。
 子供の泣き声は癇に障ったのだろうアルノー様は、短くもういいと言うと俺とレヴィオを部屋から追い出した。レヴィオは何も言わず、裸の俺に自分のローブを巻きつけて抱きかかえてくれた。
 納戸に戻っても俺はひたすらレヴィオに謝って、だけどレヴィオはやっぱり何も言わず、まるで子供をあやすように抱いていてくれた。多分、レヴィオも泣き止まない俺をどうしていいかわからなかったのだと思う。
 それからというもの、俺が悪く言われるとすぐにその矛先は俺自身だけでなくレヴィオにも向かった。だからレヴィオは俺の管理に必死にならざるを得なかった。俺はことあるごとにごめんなさい、と言っていたように思う。
 そのたびにレヴィオはなんともいえない表情で俺を見た。
 もうあんなふうに泣くことはないけれど、今でも俺が条件反射のようにごめんなさいと言うと、レヴィオは言葉に出来ないような表情をする。
 怒ってるような、悲しそうな、それでいて後悔しているような。

 

End