Giddeus/Catastrophe

 




 数珠はいよいよ大きくなって、さっきみせられた多分一番大きな数珠が身体の中に入り込んでくる。さすがに苦しくて痛くて声を上げたらヴァルがごめんごめん、と謝った。
 押し出さないようにヴァルの指が数珠を奥へと詰め込んでくる。
「ほら、お腹触ってごらん」
 言われてお腹をさすってみたら、なんか、えっと、出てる。いやだお腹でてる。
「やだ!抜いて、抜いてよ」
 しがみついたままヴァルの背中を拳で叩いたけど、ヴァルは笑ってるだけでちっともまともに取り合ってくれない。
「自分で出せば?」
 ヴァルがそう言って指を抜くと、数珠はお腹の中で動いて、
 って、これ。いや、あの。
 あ、あぁ。
 ズル、ってズルって。
 大きな数珠がひとつ、音を立てて身体の外へと排出される。
「いっ、ひ、ぁ」
 それが合図だったのか、なんにしてもそれはひとつのきっかけだった。次々とお腹の中の数珠が外へ押し出されていく感覚。数珠は出口を大きく拡げて重量にしたがって地面へと落ちるのに、紐で繋がっているせいで次の数珠も引き出そうとする。止めようにも止まらなくて、立て続けに数珠はぽろぽろと体外へと排出されてしまった。
「あぁ、んあっ」
 同時にむずむずっとした言葉に出来ない奇妙な感覚と、軽く勃起したあれの先から何かが溢れたのは同時だった。
 何、この感じ。
 なにがでたの。
 だけどなんだかやけにふわふわして、ヴァルに全体重預けて声にならないよく分からない言葉を繰り返した。ヴァルの唇が首筋に触れて、サンダガ喰らったみたいに身体が震える。お尻に伸ばされたヴァルの手が今折角出した数珠をもう一度押し込もうとして変な声が出た。数珠は全部出てなくてまだお腹の中に残っていたけどヴァルはお構いなしにもう一度入れてくる。さすがに出たり入ったりしたからかあんまり抵抗なく飲み込まれていって、またお腹の中は数珠で一杯になった。
 ヴァルの上着が敷かれた上に寝転がされて、足を開かされる。
 もうぼうっとして凄いことされてる気がするのにそんなことどうでもよくなってきてた。
 腰を抱えられて、見える、って言われて首を横に振った。でも、ヴァルが自分のお尻から連なった数珠の先を持ち上げていたのは見えた。そのまま中くらいの数珠を入れては引っ張って、押し込んでは引き抜いて。そのたびにしっかりと勃起してないのに何故か先から溢れてくるよく分からない液体。
「んじゃあ、いくよ」
 もう半分ほど瞼が閉じていた気もする。なんか、凄く疲れた。
 耳元で囁かれて目をあけた。
 ヴァルの手は数珠の先を握ってた。
 いやな予感がしなかった、と言えば嘘。来る、と思って身構えた瞬間だった。
「あぁぁ、いあ、ぁ」
  勢いよく引き抜かれた数珠がなんだかよく分からない所を擦って身体の外へ出て行った事だけは分かった。でも目の前はもう真っ白で何が起きたかどうなったかちっとも分からない。フラッシュ喰らったように目の前が弾けてそして暗くなっていく。
 どーん、って感じ。
 何かが爆発して、全てが解放されたような、なんていうか全部同時にインビュード使ったっていうか。なんだかよく分からないまま意識は闇に飲まれた。


 どれくらい気を失っていたのか。全身に残る気怠さと妙な下半身の爽快感に顔を顰めると、ヴァルに大丈夫かと覗き込まれた。日の高さからしてそんなに時間はたってなさそうで安心する。
「だいじょうぶじゃないよ、今日はエッチなことしないっていったのに」
 そう言った自分の声は酷く掠れてて泣きたくなる。
 ギデアスに人いないからって、ヤグードさんたちは居るのにおっきな声で喘いでたのかと思ったら顔から火が出そうだ。あの人、じゃなくて鳥達はオークと違って何してるか分からないことなんてなさそうじゃん。いやオークも分かると思うけどさ。大体周囲にヤグードがいないって時点で避けられてるっていうか逃げられてるっていうか、泣きたい。
「悪い悪い、お前が気を失ってる間にいくつか見付けてきたから許せよな」
 差し出された赤モコ草は思った以上にたくさんあって思わず絆されそうになったけど今日という今日は許さない。
 いつもそんなことしない、とか嘘ばっかりだ。
「うそつき、いつもぼく」
 なんだか言葉にならなくて何が言いたいのか自分でも分からなくなってくる。
「ぼくばっかり」
 ぼくばっかり、なんなんだ。
「悪かったよ、泣くな」
 大きな手が頭を撫でてくるけどじわじわと染みだしてしまった感情は抑えが効かない。何が悔しいのか哀しいのか、それとも違う感情なのかそれすらも分からなくてぐちゃぐちゃだった。

「ぼく、ヴァルのおもちゃじゃない」

 つい口走った言葉は思いつき。
 だけどヴァルがあまりにも酷く哀しそうな顔をするから自分までびっくりしてフォローの言葉も出なかった。
「ごめん」
 ヴァルはそう言って目を伏せると、抱えてた大量の赤モコ草を地面において数歩後退った。
 泣くかと、思ったんだ。
 呆然とする自分の目の前で、ヴァルはもう一度謝ると呪符を切った。

 


 

 

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