Mirror, Mirror/Catastrophe

 




「オレはフリッツに導かれていた?!」

 いきなり何言い出すんだ、このエルヴァーン。
 しかもなんでかさっきよりずっとオーバーアクションなんだけど。声も大きいし。
 なに、これ鏡の影響だったりするの。
 変な力与えられちゃったとかそういうやつ。
 戸惑う自分をゴルディヴァルは完全に置いていっちゃってて、ルトに助けを求めようと視線を動かせば彼女まで腕を組んで何度も大きく頷いていた。
 なにこの状況。
「思った通りね。あなたたちには何かあると思ってたのよ!」
「なにが?」
「導きの鏡に君が映ってる!」
 得意げにそう言って向けられたゴルディヴァルの導きの鏡。
 当然だけど自分に向けられているわけだから、鏡を見ればそこに映ってるのは自分以外あり得ないわけで。鏡とゴルディヴァルを何度も交互に見てみたけれど、鏡が曇ったり自分以外のなにかを映し出すことはなかった。
 当たり前なんだけど、ルトには見えて自分には見えているのに見えない”自分”という存在が急に不安をあおる。
 本当に映ってるの?
「これ、渡しておく」
 よく分からなくて呆然とする自分の手に、ゴルディヴァルは小さな真珠を乗せて握らせた。
 それはリンクパールによく似ていたけれど、どこか違う不思議な真珠。
「それを使えばいつでもオレに逢える」
「は、なに言って」
「直接連絡が取りたいときは、ル・ルデとか北サンドとかならいつでも行けるよ」
 他にもいくつか場所を指定されたけど、ちっとも頭に入って来ない。ウィンダスとかバストゥークとか、ようするに街だったことだけは分かった。
 状況について行けない。
「ぼく、あの」
「そんじゃ、これからも仲良くしようぜ!」
 なにこれ。
 強制的なフレ登録かなんかですかこれ。
 いやでもこれを望んでいたんだっけ。これからも続く関係を、自分が望んだんだっけ。
「これで、あなた達はいつでも協力できるってわけね?わたしも嬉しいわ。もちろん、これからもわたしに手を貸してくれるわよね」
「ああ。また何かあったらいつでも呼びな。ハハハ」
「ありがとう。そうさせてもらうわ。オホホ」
 何が起きてるのか、さっぱり分からない。
 目の前でどう考えてもおかしな笑い声をあげている二人がとても遠くに見えた。
「じゃあ、オレこいつ病院連れて行くから」
「わかったわ。じゃあ、また何かあったら連絡するわね」
 肩をかばうように自分の身体がゴルディヴァルに引き寄せられた。
 その手は乱暴ではなくて、ひたすらに優しい。
 まだ自分はここにいてもいいのかな。まだ出来る事あるのかな。
 そう思っていたら、ルトが自分の方を向いて笑った。


「これからもよろしくね、フリッツ」


フェロー「ゴルディヴァル」が呼び出せるようになった!
シグナルパールを手にいれた!



 

 

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